新刊『日本水引』。長い年月をかけてようやく完成しました。その裏話。ちょっとだけ長いですが、これまで話さなかったお話を。
2013年。類書が無いと言われるなか
『手軽につくれる水引アレンジBOOK』を出版しました。
(水引工芸の指南書は出版されていましたが、出版された時代が古く、
内容の方向性が異なるので比較対象にならないとの理由でした・・・)
その頃世間の水引の印象は正直言って「古臭いもの」。
アレンジ次第ではこんなに可愛くなること、
冠婚葬祭だけでなく普段の暮らしの中で
素敵に水引を取り入れてほしい!
先ずは水引のイメージを変えて沢山の方に手に取って欲しいと思いました。
類書がない=過去の販売実績がない。あるのはリスク(笑)
「受け入れてもらえるのかな・・・」関係者の不安をよそに、
水引の印象が変わった!自分でも作りたい!と大きな反響をいただきました。
立て続けにハウツー本を出版することができ、3冊目を出した2016年。
水引を取り巻く状況が少し変化していました。
その頃にはテイストの異なる他の作家さんも含めて
水引ハウツー本の販売実績が好調なこともあり、
それらのデザイン要素を抜き出した編集本のような水引書籍も
出版されるようになりました。
同時に、水引の大事な部分が
抜け落ちてしまっているような解釈を目にすることも多くなり・・・。
水引が広がって多くの方に親しまれていることを実感し嬉しく思う反面、
正直とても複雑な気持ちになっていきました。
私は水引にとって良いことをしてきたのだろうか・・・と。
実は、その後も出版のお話をいただきましたが、
一旦ハウツー本からは距離を置くことにしました。
次の自分の役割は水引について深く堀りさげて、
水引の本質をお伝えすることではないだろうか。
こうして、水引を始めた約20年前から温め続けたことをベースに
2016年から新たな構想が始まりました。
出版社・編集者と本格的に『日本水引』企画が立ち上がったのは約3年前。
水引が単にかわいいだけのものにならないように。
アップデートするためにはその背景や意味を知ることが大事です。
知ることで時代に応じた自由で確かな判断が出来るようになると信じています。
『日本水引』。
奇しくもまたもや類書の無い本となってしまいました。
これまで曖昧になっていたことや、
ちょっとタブー視されてきたようなことにも、
私もいち読者目線で深堀りしました。
3年間書き続けて、壮大な水引の旅をした気持ちです。
この一冊をきっかけに、
新たな見方や発見、色々なお話が深まることを期待しています。
次世代へ水引文化がより太く長く続くようにと願っています。
画像は原稿の一部です。
一番最初は頭の中をひたすらに手書きしました(笑)