February 15.2023
C9319D4B-.jpg

2月15日(水)読売新聞(東京本社発行版)「はじまり考」に
水引を取り上げていただきました。
様々な情報が溢れているこの世の中、
「調べてみると、世の中に広まっている話と違う説があるぞ」
という発見から物事の始まりを考えるコーナーです。

拙著『日本水引』を読んで下さった読売新聞の記者さんが
これまで通説とされてきた「小野妹子説」「貿易品の紐説」
などとは違う、書籍で紹介した私の解釈である
「神様に贈り物を捧げる作法」を
水引のはじまりとして取り上げて下さいました。

難しい専門用語を含む水引の起源の話や、
ちょっとした解釈の違いで意味が変わってしまう水引の話を、
限られた文字数の中で幅広い読者に分かりやすく
伝えられるようにと何度も何度も熱心に
確認を重ねて下さり記事にしていただきました。

記者さんは小さな記事ですが・・・と、仰っていましたが
私はこれからの水引の文化にとって、
いや、もっと広い意味で
とても大きな一歩、大きな記事だと感じます。

丁寧に取材していただき本当にありがとうございました。



February 01.2023
1800_あわび返し_s.jpg

1600_輪結び.jpg

1600_もろわな結び全体_s.jpg

IMG_0099.JPG

短冊3種.jpg

和紙1.jpg

IMG_5469.jpg

丁寧に丁寧に進めてきた、TIERのご祝儀袋リニューアル。

ようやく皆さまにお披露目できる日がきました。

 

TIERの考えるスタンダードは、毎回使いたいシンプルで本当に良いモノ。

 

和紙に包んで「相手に贈る」ことの本来の意味を考え、

今の時代に合わせた「贈る」を大切に心がけました。

 

まずは祝儀袋の大部分の紙、和紙について考えました。

和紙って聞くとなんだかよくわからないけど高級な紙に感じませんか?

拙著『日本水引』でも触れましたが和紙には、実は定義がない・・・

和紙と言ってしまえば和紙となってしまう現状・・

 

私も驚きましたが、例えば、木材のパルプや、葉の繊維であるマニラ麻などを

機械で漉いて和紙に似せた洋紙でも和紙だと言えてしまうのが実情で、

現在私たちが目にする和紙と言われる約95%以上は、そのような紙のようです。

このことを私が良いも悪いも言うつもりはありませんが、

「えっ、知らなかった。

お世話になったからちゃんとした良いモノで贈りたいと思っていたのに」

となる前に、まずは知ることできちんと分かって選ぶことが大切だと思うのです。

 

私が思う本来の和紙は楮、三椏、雁皮などの靭皮繊維を原料に用いて

手漉きでつくる日本古来の紙です。このような貴重な和紙は、

高価で数パーセントしか出回っていないので当然私たちは目にする機会が

ほとんどありませんでした。

 

そこで、私は今回リニューアルするにあたり、国内で大切に栽培され育てられた

希少な国産楮のみ、手漉きでいちまい一枚すべて特別にあつらえていただく

ことにこだわりました。

 

今の時代、昔のような良い素材の入手はなかなか難しい・・・

手間を惜しまずに作られている「これこそ和紙」を多くの方に知っていただきたい、

みなさんに使っていただきたい思いの丈を和紙職人の谷野裕子さんにお伝えし、

ご理解とご協力をいただけたからこそ今回実現することができました。

 

細かい部分を何度もやり取りを重ねながら、

豊かな繊維質であることを目と手で確認できる谷野さんの和紙は優しく、

古来と現代の日本を行き来するような気持ちになります。

たおやかな雰囲気の中にも凛とした品格がある短冊の文字は

書道家 中村ふくさんにお願いし、納得のいくまで微調整を何度も重ねてきた

自信作です。

 

そして熨斗(のし)。

昨今デザイン重視で本来の意味が抜け落ちているように感じることから、

再認識するためにも愚直に取り組み「鮑熨斗」と「麻熨斗」2種類の熨斗をつくりました。

 

元来、神様に捧げる贈り物として貴重品であった鮑がやがて贈り物の主役となり熨斗となります。

古代より「御食国(みけつくに)」として山海の食べものを朝廷に献じてきた淡路島。

淡路島産の本物の鮑(あわび)を今回の為に漁師さんに採っていただき伸した貴重な熨斗鮑です。

もう一種は、古代より神様への捧げものとして神聖なものとされ、古来よりケガレを払うものとして

重宝された麻を熨斗にしました。

 

贈る目的に応じた結びにて、赤白の水引でTIERがひとつひとつ想いを込めて形にします。

本来の意味を大切に見直し、形にしたご祝儀袋です。

大切な方へ、相手を想い丁寧にお渡ししたいときにぜひお使いください。

 

モノ作りをするにあたって、要素を切り取って単に取り付けるのはとても簡単なことです。

真逆に時間をかけて、ひとつずつの価値を大切に高めながら作ったこのご祝儀袋。

自信を持ってお届けいたします。

 

最後に、本来であればもっと高い価格になる商品ですが、

みなさまのご協力をいただき無事にできました。

本当にありがとうございました。

 

 

只今、TIERのオンラインショップ(TIER (stores.jp)にてご予約受付中です。

221日(火)より順次発送いたします。


-----

和紙職人/谷野裕子

国の重要文化財、ユネスコ無形文化遺産に登録されている

「細川紙」の技術保持者、伝統工芸士。

和紙作りの指導や講演、他産地や海外でも技術指導を行う。

 

書道家/中村ふく

アートとしての書道の魅力と可能性を幅広い層へ伝えるべく、

プロダクトなどの題字を多く手がけ、書道アーティストとして活動している。

 

水引職人/長浦ちえ

水引デザイナー、水引文化研究家。伝統を踏まえ現代の解釈を交えながら

水引を現代の生活に落とし込んだプロダクトをデザインしている。

-----

 


1