December 15.2022
「神社新報」に『日本水引』を掲載いただきました
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12月12日付の「神社新報」に『日本水引』を掲載いただきました。

神社本庁の機関紙である「神社新報」(神社新報社が発行する
神社界唯一の新聞)に『日本水引』をご紹介いただき大変光栄です。

本書の内容をとても的確に分かりやすく丁寧にまとめていただき
ご紹介いただきました。

本を書くにあたって、難しい内容だけれど知っていただきたい事柄や単語、
世界観をどうしたら読者に伝わりやすくなるかと悩み工夫を重ねた部分にも
触れていただき、また細部にまでこだわった装幀などにも着目していただき
ました。

そして、神社本庁近くにある神社・神道の専門書店「BOOKS鎮守の杜」
で『日本水引』をお取り扱いいただいています。学生の頃、代々木に向かう
途中でふらりと入ったことがあり、専門書の数々に当時の私は圧倒された
記憶がありますが、ここに自分の書籍が並ぶ日が来るとは・・・
感慨深いです。

今後も次の世代にバトンを繋いでいけるように微力ながら頑張っていこうと
思います。

以前の新聞掲載記事が画像では少し読みづらかったとのお声もありましたので、
下記、記事となります。
もし、宜しければお読みください。
神社新報さんは創刊以来「歴史的仮名遣ひ」を使用されています。

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贈り物をめぐる文化より生まれた「水引」の世界へ

 神祭の歴史は、捧げ物の歴史といっても過言ではない。神祭における最要普遍、即ち神社の存立基盤ともいふべきものが、神々への献上品の供進であらう。祈請や報賽など願意や謝意を問はず、人々は神々に対して最良最上の品々やその料(金銭)を捧げてきた。転じて人と人との関係へと目を向ければ、こちらもまた節目ごとの贈答の歴史である。祝儀に弔問、挨拶に見舞ひなど、慶事・弔事を問はず冠婚葬祭や節季の挨拶ほか折節、機会あるごとに人々は物品や金銭を贈り合ふ。進物は祝儀・不祝儀にかかはらず、交流・交渉にまつはる日本文化に欠かせぬものといへる。
 なほ、神祭では飲食物や物品を神饌・幣帛たらんとして調整・装飾するやうに、人と人との間で交はされる物品や金銭もまた、それらを贈り物たらしめる標示=包装が求められる。さうした包装として現代社会でも用ゐられるのが「のし紙」や「かけ紙」、「祝儀(のし)袋」や「不祝儀袋」であり、さらにはこれら包装を象徴するのが、「水引」の存在であらう。かうした今なほ馴染み深い装飾の水引をテーマに、日本神話にみたそのルーツや歴史・文化から、形状・色目、結び方まで悉く網羅したのが、本書『日本水引』である。
 本書は序文と結文を除き、表題たる「水引」以下、「礼法」「基本の結び」「元結」「陰陽五行」「水引の色」「熨斗」「結び」、そして最後の「贈答」に至る全九章で構成される。あまねく「水引」にまつはる事柄を一般に向けて、水引文化研究家の著者がわかりやすく丁寧に解説する。これまでもデザインを中心に水引を取り扱った書籍は出版されてきたが、「結ぶ、祈る、贈る、日本のかたち」と副へられた本書は、神と人、人と人とを結び取り持つ重要な役目を果たし続ける「水引」の、歴史・文化にも深く言及してゐる点で注目されよう。歴史や伝統を踏まへた上で、現代的な活用を模索せんとする著者の姿勢は、まさに「結びの文化」の体現者といふに相応しい。また、掲載される関連の画像やイラスト、筆者による見解や用語解説にも、本文だけでは語り尽くせぬ「日本水引」の世界へと、読者を魅了し、いざなはんとする著者の細やかな配慮がみられる。
 加へて、さうした水引全書的な内容と併せて印象的なのが、その装幀である。祝儀袋を想起させる水引を配したカバーデザインや、紙質・色目へのこだはりも見受けられる赤色鮮麗な四重の扉、さらにはカバー内側に祕められた「日本水引の系譜」とも言ふべき労作。これらは、水引論の担ひ手にして水引デザイナーでもある著者の、水引に対する一途な思ひを感じさせる。日本の風土や幾久しい歴史の中で培はれてきた「水引」文化。世界に誇る奥ゆかしくも興味深い日本の伝統、贈答をめぐる歴史の証人たる「日本水引」の世界を、本書を通じて覗いてみてはいかがであらう。

〈税込2640円、誠文堂新光社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉

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PROFILE
長浦ちえ

水引と紙、伝統と現代、ヒトとヒト。
そんなモノやコトを結びつける視点でモノ作りをしている
TIERの制作のことや日々のこと。