February 15.2023
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2月15日(水)読売新聞(東京本社発行版)「はじまり考」に
水引を取り上げていただきました。
様々な情報が溢れているこの世の中、
「調べてみると、世の中に広まっている話と違う説があるぞ」
という発見から物事の始まりを考えるコーナーです。

拙著『日本水引』を読んで下さった読売新聞の記者さんが
これまで通説とされてきた「小野妹子説」「貿易品の紐説」
などとは違う、書籍で紹介した私の解釈である
「神様に贈り物を捧げる作法」を
水引のはじまりとして取り上げて下さいました。

難しい専門用語を含む水引の起源の話や、
ちょっとした解釈の違いで意味が変わってしまう水引の話を、
限られた文字数の中で幅広い読者に分かりやすく
伝えられるようにと何度も何度も熱心に
確認を重ねて下さり記事にしていただきました。

記者さんは小さな記事ですが・・・と、仰っていましたが
私はこれからの水引の文化にとって、
いや、もっと広い意味で
とても大きな一歩、大きな記事だと感じます。

丁寧に取材していただき本当にありがとうございました。



February 01.2023
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丁寧に丁寧に進めてきた、TIERのご祝儀袋リニューアル。

ようやく皆さまにお披露目できる日がきました。

 

TIERの考えるスタンダードは、毎回使いたいシンプルで本当に良いモノ。

 

和紙に包んで「相手に贈る」ことの本来の意味を考え、

今の時代に合わせた「贈る」を大切に心がけました。

 

まずは祝儀袋の大部分の紙、和紙について考えました。

和紙って聞くとなんだかよくわからないけど高級な紙に感じませんか?

拙著『日本水引』でも触れましたが和紙には、実は定義がない・・・

和紙と言ってしまえば和紙となってしまう現状・・

 

私も驚きましたが、例えば、木材のパルプや、葉の繊維であるマニラ麻などを

機械で漉いて和紙に似せた洋紙でも和紙だと言えてしまうのが実情で、

現在私たちが目にする和紙と言われる約95%以上は、そのような紙のようです。

このことを私が良いも悪いも言うつもりはありませんが、

「えっ、知らなかった。

お世話になったからちゃんとした良いモノで贈りたいと思っていたのに」

となる前に、まずは知ることできちんと分かって選ぶことが大切だと思うのです。

 

私が思う本来の和紙は楮、三椏、雁皮などの靭皮繊維を原料に用いて

手漉きでつくる日本古来の紙です。このような貴重な和紙は、

高価で数パーセントしか出回っていないので当然私たちは目にする機会が

ほとんどありませんでした。

 

そこで、私は今回リニューアルするにあたり、国内で大切に栽培され育てられた

希少な国産楮のみ、手漉きでいちまい一枚すべて特別にあつらえていただく

ことにこだわりました。

 

今の時代、昔のような良い素材の入手はなかなか難しい・・・

手間を惜しまずに作られている「これこそ和紙」を多くの方に知っていただきたい、

みなさんに使っていただきたい思いの丈を和紙職人の谷野裕子さんにお伝えし、

ご理解とご協力をいただけたからこそ今回実現することができました。

 

細かい部分を何度もやり取りを重ねながら、

豊かな繊維質であることを目と手で確認できる谷野さんの和紙は優しく、

古来と現代の日本を行き来するような気持ちになります。

たおやかな雰囲気の中にも凛とした品格がある短冊の文字は

書道家 中村ふくさんにお願いし、納得のいくまで微調整を何度も重ねてきた

自信作です。

 

そして熨斗(のし)。

昨今デザイン重視で本来の意味が抜け落ちているように感じることから、

再認識するためにも愚直に取り組み「鮑熨斗」と「麻熨斗」2種類の熨斗をつくりました。

 

元来、神様に捧げる贈り物として貴重品であった鮑がやがて贈り物の主役となり熨斗となります。

古代より「御食国(みけつくに)」として山海の食べものを朝廷に献じてきた淡路島。

淡路島産の本物の鮑(あわび)を今回の為に漁師さんに採っていただき伸した貴重な熨斗鮑です。

もう一種は、古代より神様への捧げものとして神聖なものとされ、古来よりケガレを払うものとして

重宝された麻を熨斗にしました。

 

贈る目的に応じた結びにて、赤白の水引でTIERがひとつひとつ想いを込めて形にします。

本来の意味を大切に見直し、形にしたご祝儀袋です。

大切な方へ、相手を想い丁寧にお渡ししたいときにぜひお使いください。

 

モノ作りをするにあたって、要素を切り取って単に取り付けるのはとても簡単なことです。

真逆に時間をかけて、ひとつずつの価値を大切に高めながら作ったこのご祝儀袋。

自信を持ってお届けいたします。

 

最後に、本来であればもっと高い価格になる商品ですが、

みなさまのご協力をいただき無事にできました。

本当にありがとうございました。

 

 

只今、TIERのオンラインショップ(TIER (stores.jp)にてご予約受付中です。

221日(火)より順次発送いたします。


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和紙職人/谷野裕子

国の重要文化財、ユネスコ無形文化遺産に登録されている

「細川紙」の技術保持者、伝統工芸士。

和紙作りの指導や講演、他産地や海外でも技術指導を行う。

 

書道家/中村ふく

アートとしての書道の魅力と可能性を幅広い層へ伝えるべく、

プロダクトなどの題字を多く手がけ、書道アーティストとして活動している。

 

水引職人/長浦ちえ

水引デザイナー、水引文化研究家。伝統を踏まえ現代の解釈を交えながら

水引を現代の生活に落とし込んだプロダクトをデザインしている。

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January 20.2023
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【水引を結び、学ぶ場】
水引文化研究家/水引デザイナー 長浦ちえによる水引教室、「水引 長浦塾」の
ご案内です。

福岡と東京で開催します。
詳細はコチラからご覧ください。


「実際に教室や書籍、オンラインレッスンや動画などで学んでみたけれど、
自分の作り方に自信がない。何か違う気がするけれど・・・その何かが分からない。」
という声を沢山いただいています。皆さんはそのようなことはありませんか?

それには理由があります。
クセや個人差があるからです。長浦塾では、おひとりお一人のクセを見つけて
レッスンいたします。

自身の水引アレンジ本を出版した後、教える先生方や書籍の出版なども増え、
私は次なる役目として水引を更に水引を広げようと考え、作品や研究の方にシフトして
いましたが、昨今このようなご相談などを多くいただくようになり、長浦塾を開催しようと
思いました。

これから水引を始める方も、基礎が一番大事になるので最初が肝心。
是非おススメです。

昨今、水引は女性を対象とした手芸素材のイメージが強いですが日本人として
水引を結べることはとても素敵なことだと思います。
男性も何か人にお渡しする際に、水引をささっと結ぶことができたら、
とても粋ではないですか!?
「水引長浦塾」では、女性でも男性でも、お子様でも年配の方でも、
工芸や手仕事のことに興味がある方など、是非ご参加をお待ちしています。

多くの皆さんとお会いできることを愉しみにしています。

◎今後の長浦塾日程や内容、TIERのイベントなどのご案内は、
公式LINEアカウントより先行して配信いたします。是非ご登録ください。


December 15.2022
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12月12日付の「神社新報」に『日本水引』を掲載いただきました。

神社本庁の機関紙である「神社新報」(神社新報社が発行する
神社界唯一の新聞)に『日本水引』をご紹介いただき大変光栄です。

本書の内容をとても的確に分かりやすく丁寧にまとめていただき
ご紹介いただきました。

本を書くにあたって、難しい内容だけれど知っていただきたい事柄や単語、
世界観をどうしたら読者に伝わりやすくなるかと悩み工夫を重ねた部分にも
触れていただき、また細部にまでこだわった装幀などにも着目していただき
ました。

そして、神社本庁近くにある神社・神道の専門書店「BOOKS鎮守の杜」
で『日本水引』をお取り扱いいただいています。学生の頃、代々木に向かう
途中でふらりと入ったことがあり、専門書の数々に当時の私は圧倒された
記憶がありますが、ここに自分の書籍が並ぶ日が来るとは・・・
感慨深いです。

今後も次の世代にバトンを繋いでいけるように微力ながら頑張っていこうと
思います。

以前の新聞掲載記事が画像では少し読みづらかったとのお声もありましたので、
下記、記事となります。
もし、宜しければお読みください。
神社新報さんは創刊以来「歴史的仮名遣ひ」を使用されています。

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贈り物をめぐる文化より生まれた「水引」の世界へ

 神祭の歴史は、捧げ物の歴史といっても過言ではない。神祭における最要普遍、即ち神社の存立基盤ともいふべきものが、神々への献上品の供進であらう。祈請や報賽など願意や謝意を問はず、人々は神々に対して最良最上の品々やその料(金銭)を捧げてきた。転じて人と人との関係へと目を向ければ、こちらもまた節目ごとの贈答の歴史である。祝儀に弔問、挨拶に見舞ひなど、慶事・弔事を問はず冠婚葬祭や節季の挨拶ほか折節、機会あるごとに人々は物品や金銭を贈り合ふ。進物は祝儀・不祝儀にかかはらず、交流・交渉にまつはる日本文化に欠かせぬものといへる。
 なほ、神祭では飲食物や物品を神饌・幣帛たらんとして調整・装飾するやうに、人と人との間で交はされる物品や金銭もまた、それらを贈り物たらしめる標示=包装が求められる。さうした包装として現代社会でも用ゐられるのが「のし紙」や「かけ紙」、「祝儀(のし)袋」や「不祝儀袋」であり、さらにはこれら包装を象徴するのが、「水引」の存在であらう。かうした今なほ馴染み深い装飾の水引をテーマに、日本神話にみたそのルーツや歴史・文化から、形状・色目、結び方まで悉く網羅したのが、本書『日本水引』である。
 本書は序文と結文を除き、表題たる「水引」以下、「礼法」「基本の結び」「元結」「陰陽五行」「水引の色」「熨斗」「結び」、そして最後の「贈答」に至る全九章で構成される。あまねく「水引」にまつはる事柄を一般に向けて、水引文化研究家の著者がわかりやすく丁寧に解説する。これまでもデザインを中心に水引を取り扱った書籍は出版されてきたが、「結ぶ、祈る、贈る、日本のかたち」と副へられた本書は、神と人、人と人とを結び取り持つ重要な役目を果たし続ける「水引」の、歴史・文化にも深く言及してゐる点で注目されよう。歴史や伝統を踏まへた上で、現代的な活用を模索せんとする著者の姿勢は、まさに「結びの文化」の体現者といふに相応しい。また、掲載される関連の画像やイラスト、筆者による見解や用語解説にも、本文だけでは語り尽くせぬ「日本水引」の世界へと、読者を魅了し、いざなはんとする著者の細やかな配慮がみられる。
 加へて、さうした水引全書的な内容と併せて印象的なのが、その装幀である。祝儀袋を想起させる水引を配したカバーデザインや、紙質・色目へのこだはりも見受けられる赤色鮮麗な四重の扉、さらにはカバー内側に祕められた「日本水引の系譜」とも言ふべき労作。これらは、水引論の担ひ手にして水引デザイナーでもある著者の、水引に対する一途な思ひを感じさせる。日本の風土や幾久しい歴史の中で培はれてきた「水引」文化。世界に誇る奥ゆかしくも興味深い日本の伝統、贈答をめぐる歴史の証人たる「日本水引」の世界を、本書を通じて覗いてみてはいかがであらう。

〈税込2640円、誠文堂新光社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉

December 14.2022
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今年で2回目となる「TIERの年の瀬市」。




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今年で7年目となる、福岡・岩田屋さんでの年末催事。

皆さまの年末のお仕度、新年をお迎えするお飾りのお手伝いを
させていただきありがとうございます。
毎年年末に「良いお年をお迎えください。」と笑って挨拶できる
ことが、どんなに幸せなことか。

沢山の方にお越しいただき、心より感謝申し上げます。

健やかな日々を過ごし、
また来年の年末に笑ってお会いできますように。




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